少年達に別離の日を告げていた
もうどこにも見出すことはきでなかった
帯革の金具に僅かにとどめているに過ぎなかった
数日前までの幼年学校生徒と何等変わるところは無かったが
隆
上野
今ここにとどめるもの
第一種軍装、
おやじ近藤生徒監は
それぞれが切り拓いた
正門まで到ると、
習慣のまま挙手敬礼して
かって将校生徒であった、少年たちの栄光である
屈折した思いの中に、なお息づく
人生修羅の追想であり
今ここにとどめるものは
少年の日日を寝食を共にした僅かばかりの縁を心頼みと
し
有終模索の歳とはなった
かって紅顔の少年達も還暦に近く
既に古稀の齢を迎えられ
教え子たちの生きざまを見守り続け、
別離の日以降誰よりも心を痛め
四十有余年、少年たちの心の支えであり誇りであった
、
ぎらぎら照りつける昨日のままの太陽と
軍靴にきしむ砂利音だけが、
、
あの輝かな瞳の少年達は、
盛装した父母に伴はれ、誇らかこの校門をくぐった
僅か一年数ヶ月前、桜花らんまんのこの坂を
少年たちのさまざまな夏の終わりであった
許された携行品を背に身をかがめ、黙黙と校門を後にした
昂然と頭を上げて地獄坂を下る気力も失い
市井の中学生にまた還された屈辱とやり場のない憤りに
幼年学校生徒でなくなった今
振り返らない少年もいた
そういえば、本館正面の菊の御紋章も既に失われていた
将校生徒であった矜持を
御紋章の刻まれた銃も短剣も今は携行せず
別離の無念に涙する少年がいた
本部正面にさっと直立不動の姿勢をとり